ペンギンの話

ペンギンのことをつらつら書いていきます。

仙台うみの杜水族館

施設の概要

仙台うみの杜水族館は、仙台市、JR仙石線中野栄駅から、シャトルバスで10分ほどの高砂中央公園内にある大型の水族館です。東北の太平洋岸でみられる生物相を中心に、約300種類5万点の生物を展示しています。

館内は、三陸海岸の生物を展示する「日本の海」、オセアニア、ヨーロッパ、アジア、アメリカと地域ごとに世界の生物を展示する「世界の海」、海獣やビーバーなどを展示する「海獣ひろば」に分かれ、さらにイルカショーを行う「うみの杜スタジアム」が併設されています。屋外には磯場を再現し、実際に中に入ってホヤやヒトデなどを触ることができる「うみの杜ビーチ」やニホンリス、淡水魚を展示するエリアもあります。

まず注目は、入場してすぐに設置されている大水槽「いのちきらめくうみ」でしょうか。屋根がなく自然光を取り入れる作りになっていて、自然に近い状態でシュモクザメなど三陸の海にすむたくさんの生物を観察することができます。天気のよい日に、降り注ぐ太陽光のなかを泳ぎ回る魚たちの姿は息をのむほどの美しさです。2017年10月には傷ついたスナメリが保護され、この大水槽で展示されるようになりました。

いのちきらめくうみ

大水槽「いのちきらめくうみ」

スナメリ

保護されたスナメリ

また、「日本の海」のヨシキリザメ展示も必見です。うみの杜水族館では、飼育が難しいとされるこのサメ(気仙沼港で水揚げされるサメの中心で、フカヒレとして利用されるサメの代表種)の長期飼育に挑戦を続けており(執筆時点の記録は252日で世界最長)、飼育技術の確立に取り組んでいます。生きているヨシキリザメは、ほかの施設ではなかなかみることができません。

ヨシキリザメ

長期飼育に挑戦中のヨシキリザメ

「世界の海」での注目は、まずツメナシカワウソでしょうか。コツメカワウソに近い種類のカワウソなのですが、でかい。多くの動物園・水族館で飼育されているコツメカワウソやユーラシアカワウソのサイズ感に慣れていると、多分、見た瞬間にまず笑うと思います。それぐらい、意表をついてでかい。ぜひ笑って欲しいと私は思います。

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巨大なツメナシカワウソ

それから、メガネカイマン 。バブル期にペットとして大量に輸入されたワニですが、動物園や水族館での飼育は意外と少なく、なかでもここの個体は国内最高齢。ほとんど動かなくて置き物と勘違いされるくらいですが、見ておいて損はないでしょう。

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国内最高齢のメガネカイマン

そのほか、この水族館で特徴的なのは、深海生物の展示コーナーでしょうか。ここでは、生物ライターで『深海魚のレシピ〜釣って、拾って、食べてみた』の著者である平坂寛さんがいろいろな深海魚(世界一ブサイクな魚と言われるブロブフィッシュなど)を調理して食べてみる動画が常設でかけられています。「尖った竹島水族館」といいますか、なんとも攻めた展示ですが、包丁を入れて明らかになる不思議な感触の身が深海適応の表れであることがわかったりして、思いのほか勉強にもなるおもしろい展示です。

もちろん、大型水族館の例にもれず保全活動や研究にも力を入れており、「うみの杜ラボ」では、東北地方に生息する希少な魚類や両生類の域外保全活動や情報発信を行なっています。

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希少なトウホクサンショウウオの域外保全にも取り組んでいる

ペンギン

ペンギンの展示にも、この水族館は力を入れています。展示種数8種類は和歌山のアドベンチャーワールドと並び、全国で2番目の多さです(1位は長崎ペンギン水族館の10種)。来園者の頭上を通るようにペンギンの通路が設けられていたり、プールの水深を4mと深くし、ペンギンがより自在に泳ぎ回る様子を観察できるようにしたりと、展示方法にも工夫が凝らされています。

展示されているペンギンは、「オーストラリアの海」にコガタペンギン、「海獣ひろば」にジェンツーペンギン、ミナミイワトビペンギン、マカロニペンギン、オウサマペンギン、フンボルトペンギン、ケープペンギン、マゼランペンギンの7種、計8種が飼育されています。このうちコガタペンギンとマカロニペンギンは飼育している水族館が少なく、一見の価値があるでしょう。姿のよく似たケープペンギン、フンボルトペンギン、マゼランペンギンの3種が同じプールで飼育されているので、見分けられるかどうか力試しもできそうです。

※現在マゼランペンギンは繁殖計画のため八景島シーパラダイスへ移動しています。

コガタペンギン

コガタペンギン

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ジェンツーペンギン

マカロニペンギン

マカロニペンギン

ミナミイワトビペンギン

ミナミイワトビペンギン

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オウサマペンギン

ケープペンギン

ケープペンギン

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フンボルトペンギン

マゼランペンギン

マゼランペンギン

フンボルトペンギン

来園者の頭上を歩くフンボルトペンギン

オウサマペンギン、ジェンツーペンギン、ミナミイワトビペンギンは、夏の間はガラス張りの冷房室の中で展示されていますが、冬になると、フンボルトペンギンなどのいる屋外展示場に出てきます。

冬の間は「ウィンターペンギンパレード」と題して、観覧通路をペンギンがお散歩するイベントが開かれ、間近で彼らの姿をみることができます。また、1日1回、ペンギンの展示場へ入ってガイドをしてもらえるペンギンツアー(有料)も開催され、本物の羽根や卵に触ったりすることもできる、ペンギン要素の充実した施設となっています。

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ウィンターパレードで観覧通路を走るジェンツーペンギン

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パレード期間中は通路内に雪の山が設置され、雪で遊ぶペンギンを見ることができる

 

仙台うみの杜水族館は、見所が多く美しい展示が多く、いつまでもいられる水族館です。東北へお出かけの際はぜひ足を伸ばしてみてください。

関連リンク

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深海魚の調理動画を担当しているライター平坂寛さんのブログ

hiroshi-hirasaka.com