葛西臨海水族園
施設の概要
葛西臨海水族園は、東京都江戸川区、JR京葉線の葛西臨海公園駅からすぐにある水族館です。都内では最大規模の水族館で、47の水槽に、約650種の生物が展示されています。(南極も含めて)飼育員が生息地に出向いて調査・採集を行う、ボランティアではない展示解説員が常駐するなど、研究・教育活動にも力を入れている水族館です。
館内は外洋性のサメやカツオ類などを展示する「大洋の航海者」、世界各地の沿岸性の生物を展示する「世界の海」、「深海の生物」、南極の生物を展示する「南極の海」、潮間帯の生物を展示する「渚の生物」、4種のペンギンを展示する「ペンギンの生態」、伊豆諸島を含む東京都沿岸の生物を展示する「東京の海」、エトピリカ、ウミガラスを展示する「海鳥の生態」に分かれ、さまざまな生態系のなかで暮らす生物を観察することができます。
展示の目玉は、なんといっても巨大なドーナツ水槽の中を泳ぎ回るクロマグロたちでしょう。2014年に、突然の大量死によって壊滅状態となりましたが、現在では元のように、元気に泳ぎ回るクロマグロの姿を見ることができます。餌やりの時間に、水槽上部から投入される餌に向かって魚雷のように突進していく姿は迫力満点です。水槽の前には「アクアシアター」と名付けられた観覧席が設けられているので、座ってゆっくり観察することができます。
また、南極の生物展示も、国内ではなかなかみることができない貴重なものでしょう。世界初のジャノメコモリウオの展示、飼育下での産卵に成功するなど、力の入っている展示です。
ペンギン
さて、肝心のペンギン展示ですが、こちらもかなり充実したもの。まず、飼育施設の規模は、国内では最大級を誇ります。陸場も水場もたっぷりとスペースが設けられ、ペンギンたちが群れでのびのびと暮らせるようになっているのです。
飼育されている種も関東圏では多めで、フンボルトペンギン、コガタペンギン、オウサマペンギン、ミナミイワトビペンギンの4種。屋内展示設備がないため、春から夏にかけては暑さに弱いミナミイワトビペンギンとオウサマペンギンは展示休止となってしまいますが、秋から冬にかけてはすべてのペンギンを観察することができます。
このうち、コガタペンギンは飼育施設も少なく、関東圏ではほかに飼育している施設がないため、必見といえます。
また、冬季限定とはいえ、オウサマペンギンをガラス越しでなく観察できる点も、関東では貴重かもしれません。1年中冷房室に入っていて、ガラス越しでしか観察できない施設も多いですから、綺麗な写真を撮りたいような場合には(少しペンギンとの距離が遠いですが)ありがたいものです。
ミナミイワトビペンギンを20羽を超える数で飼育・展示している点も魅力です。ほとんどのペンギンは集団性なので群れでいる姿こそ「ペンギンらしい」。群れのサイズが大きいと、それだけで「ペンギンを見ているなぁ」という気持ちになるのですが、ここまで大きな群れをみせてくれるのは、関東ではここだけです。
そしてなんといってもフンボルトペンギンの多さ! 餌やりの時間に、フンボルトペンギンの大群が餌めがけて殺到する様子は、クロマグロに勝るとも劣らない迫力です。
もちろん、ただたくさんいるというだけではなく、葛西臨海水族園は種の保存のための活動にも力を入れています。ミナミイワトビペンギンについては自然繁殖が順調に行われているだけなく、大阪・海遊館の人工授精の研究に協力するなど、さまざまな取り組みを行なっています。
このように、葛西臨海水族園のペンギン展示は、質・量ともにとても充実しているのです。
公立水族館でありながら、おしゃれなペンギングッズがたくさん売られているところも魅力のひとつかもしれません。
イルカなど海獣類を飼育せず、したがってショーも行わないことから地味な印象を受けてしまいがちですが、一押しの水族館のひとつです。