高くて遠いマッコーリー
アニメ「けものフレンズ」には、PPP(Penguins Performance Project)というペンギンのアイドルグループが登場する。
このグループでセンターを務めているのが、プリンセスという名前のロイヤルペンギンのフレンズである。
プリンセスは目下私の最推しフレンズであり、できることならば原作(けものフレンズでは、コンセプトデザイナーの吉崎観音氏が「原作は動物です」と明言していることから、フレンズのもととなった動物種は「原作」とよばれることが多い)をこの目で見たいと思ってもいるのだが、ロイヤルペンギンは日本の動物園水族館では飼育されていない。「生物の科学 遺伝」の2019年1月号にペンギン会議の上田一生氏が寄せたレポートによれば、世界中でも飼育している施設はないそうである。
ロイヤルペンギンの営巣地であるマッコーリー島はオーストラリア領だが、オーストラリアは、自国の動物の国外への持ち出しを原則として禁止している。コアラのようになにがしかのインセンティブがオーストラリア側にはたらかない限りは、これから日本にやってくることもないだろう。
したがって、ロイヤルペンギンを見ようと思えば、自ら繁殖地まで行かなくてはならない。
でも、どうやって?
マッコーリー島は、ユネスコの自然遺産に登録され、島全体が国立公園に指定されている。そのため人の立ち入りが厳しく制限されており、観光客が上陸するためには、タスマニア州当局に許可をとり、当局の認可を受けた専門家を引率につけなければいけないそうだ。
Parks & Wildlife Service - Macquarie Island World Heritage Area
GUIDELINES for TOURIST VISITS to MACQUARIE ISLAND NATURE RESERVE and WORLD HERITAGE AREA
ハードルが高い。
でも、調べてみると、そのような認可を受けて催行されるツアーが、いくつか存在することがわかる。
いずれも、マッコーリー島を含む亜南極の島々、あるいは南極半島までを巡るような内容である。
このようなツアーに参加すれば、ロイヤルペンギンを間近に見ることができるようだ。
おおお。
とはいうものの、やはりなかなかに高い。西遊旅行のサイトだと、168万円、ということになっている。
アマゾンニ、3回行ケルヨ。
しかも、11月30日から12月14日というスケジューリングは、日本の給与生活者にはなかなかに厳しい(スケジュールという観点でいえばアマゾンもマサイマラも同様に厳しいが)。
ううむ。
なかなか一筋縄では行かないようである。
こうなると、むしろほかのペンギンたちを日本で見られることのありがたさが身に沁みる。
動物園水族館の存在に感謝しつつ、旅行サイトの画面をただ眺める日々である。
5000兆円欲しい。
【注】
なお、過去にはひょっとしたらロイヤルペンギンが日本に来ていたのかもしれないと疑われるような資料はあると、作家の川端裕人さんがかつてメールマガジンに記している(調査の進展についてはわからない)。