ペンギンの話

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大人のための動物園・水族館ガイド

アニメ「けものフレンズ」のヒット以降、それまで動物園や水族館に縁のなかった人たちが、続々とこれらの施設を訪れているという。

Twitterなどでも、「けものフレンズがきっかけで動物園に行ってみようと思いました」という人を見ることがあった。

全国の動物園・水族館で矢継ぎ早にコラボが企画されているのは、その集客効果が動物園の人たちに広く知れ渡ったからだろう(なにしろ、土曜日に秋吉台、日曜日に池袋、という強行軍をこなす人さえ少なからずいるくらいだから)。それほどたくさんの人が動物園・水族館に足を運んでいるということだ。

実際、動物園・水族館に出かけると、明らかに「そうだろうな」という人々を必ず見かける(私にしたところで、半分はそのようなものだ)。すごいなぁ、と思う。

さて、一目見て、「この人はそうだな」とわかる人というのはたいてい(もともと動物園によく来ていたのかどうかにかかわらず)すでにしてガチ勢であると思われるので、その人たちに私ごときが申し上げることは何もない。ただ、「けものフレンズがきっかけで動物園に来た」という人たちのなかには、ひょっとしたら「もっと動物園について知りたいけれどどうしたらいいだろう」と考えている人もいるかもしれない。今日は、そんな人たちにオススメの本を紹介する。

成島悦雄編著『大人のための動物園ガイド』と錦織一臣編著『大人のための水族館ガイド』(いずれも養賢堂)である。前者は井の頭自然文化園の園長さん(当時)、後者は葛西臨海水族園の副園長さんがまとめた「動物園・水族館を味わい尽くすための本」である。

動物園や水族館の展示はどんなところに注目するとおもしろいのか(ゾウはゆっくりした時間で生きているので、30分は観察したほうがいいよとか、自分だけの“アイドル”を作れ、とか)からはじまり、図鑑ではわからない動物園・水族館ならではの情報はどこにあるのか、動物園・水族館の社会的な役割は何か、日本ではどのような歴史を辿って来たか、どんなふうに動物を収集し、飼育しているのか、これから動物園・水族館はどうなっていくのかなど、さまざまな角度から、これらの施設のことを教えてくれる。『動物園ガイド』のほうには「いい動物写真の撮り方」、『水族館ガイド』のほうには遠く宇宙より遠い場所への研究・採集旅行の裏話など、興味を惹かれる話がたくさん載っている。これといった目玉展示のない小さな動物園でも、これらの本を読んでから行くと、細かいところがじわじわ楽しくなってくる。

両方揃えると5000円というそれなりの出費になってしまうけれど、1万円の動物園学の教科書に書かれていることが、簡単にではあってもひととおり書いてあるので、動物園・水族館に関心を持った人にとっては「買い」な本だと思う。

ご興味がありましたらぜひぜひ。

 

大人のための動物園ガイド

大人のための動物園ガイド